介護を必要とされている方には、充分な口腔ケアが必要です。要介護者が自分で行えない場合は、周囲の方が口腔ケアを行う必要があります。しかし、寝たきりで体勢すら変えられないような状態では難しく、また誤嚥の恐れがあるため細心の注意が必要です。
要介護者がベッドや車イスから離れることが難しい場合は、そのままの状態で口腔ケアを行うことが可能です。ただし、姿勢には気をつけなければなりません。前かがみにさせるなどして、唾液や洗浄水、汚れなどが喉側へ流れて行かないようにしましょう。誤嚥には、誤嚥性肺炎のリスクを伴います。
姿勢を変えることが困難な介護者の場合は、ベッドの角度を30度程度まで起こした上で、吸引器付きの歯ブラシを使用しましょう。
歯が無くなり、入れ歯となっている方や、経管栄養の方は、口の中を清掃する必要がないのでしょうか? 実は、健康な方以上の念入りな口腔ケアが必要になります。
入れ歯を使用している場合は、入れ歯の清掃はもちろん必要です。入れ歯に加え、その土台となっている健康な歯茎を清潔に保たなければなりません。また、経管栄養の方は咀嚼を行いません。咀嚼がない場合、唾液の分泌量は著しく低下し、口の中は乾燥してしまいます。
唾液は、口腔内の清掃や殺菌など、様々な機能を持っています。この分泌が止まってしまうと、口の中には汚れがたまり、口臭がとても強くなります。カビなどが発生することさえあります。周囲の介護者にとってはもちろんですが、本人の苦しみは相当なものとなります。忘れずに口腔ケアを行いましょう。
要介護者の口腔ケアの際には、誤嚥などの恐れがあります。介護者にとっても、指を噛まれるリスクがあります。これらのトラブルを解決、克服するためには、我々歯科医や、歯科医師の指導を受けるようにしましょう。ご本人が直接通院できない場合には、訪問歯科診療の制度がありますので、ぜひご利用ください。
口の中を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎のリスクを軽くすることができます。その他、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などの、全身疾患となる要因を減らすことにも繋がります。それだけでなく、口の中が綺麗であることの喜びを得ることができます。食事や会話が楽しくなれば、今後を生きるための気力ともなり、本人だけでなく、周りの介護者にも良い影響を与えます。
生活をより良いものにするため、ただしい口腔ケアを行いましょう。
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